gallary neo_/Senshu 2023/8/19(土)〜9/10(日)
この度、gallery neo_/ Senshu では 常行哲弘 (つねゆきあきひろ)個展
「 hiding in water 」を開催いたします。
まだ、作家としての道に立ち始めたばかりの瑞々しい制作をご高覧頂ければ幸いです。
常行哲弘の画面に現れる水面、汀、みずぎわの表現はとても美しい。とても好きな色だという青、紫の色彩で満たされ、静かな、 まさに音の遮断された水の中の静寂な世界。外の世界、社会との遮断、生と死の間。汀に現れる外と内は作家の死生観とも言えるだろう。 現在の作品のモチーフは作家自身の身近な体験から生じ、そして今にいたるまで変わることのない衝動によって描き続けられている。 内在する水の中という包まれた世界は生まれた場所のような安堵感や、身近な人の死によって生まれた小さな問いであり、外と内と反復 する中で生まれる境界である。
その画面はとても繊細で、可能な限り画面から作家の存在を消すようにしているという。筆致をなくした作家不在の画面は AI によって 描かれた表面的で意味を持たない無感情なCGのようにもみえる。 裏腹に作家が不必要と考える描写は省略され必要であれば盛られ、画面に至る工程は筆だけでなく指や手で溶きのばすように描くことも あるという。大きな画面にもぐりこみ全身体で描いているのである。
次第に薄まっていく現代における死。コロナ禍において立ち会うこともできず、ふと蝋燭を消すように消えてしまう生。 私たちの理解を超えた多くの事象を濁すように社会に満ちるデジタルの万能感という虚構。 死生観に答えなどなく、いつも道半ばであるが、近頃よく聞く AI はいずれシンギュラリティに達し私たちを超えた存在に なるという。
そして私たち人間は考える葦といわれるけれど、はたして AI も考える葦なのか。
常行哲弘の若々しく純粋な作品は緩やかに遠のいている存在への再考を呼び起こしている。
gallary neo_/Senshu 2023/7/1
この度千洲額縁はつくば市のgallery neo_/Senshuにて
画家園家誠二(ソノケ セイジ)個展『 月霞 』
を開催する運びとなりました。
画家園家誠二は日本画の枠に捕らわれず画材が持つ魅力を追求し、墨と岩絵の具は勿論、時にはアクリルガッシュを用いて新しい表現を模索する。それは彼にとって素材とその表現への純粋な興味からきているものであり、「まるで子供の粘土遊びのようだ」と言います。
画材の偶然性と次の一手に向き合い思案しながら生み出された美しい画面は、自身の記憶と印象の中に降り積もった懐かしさや温度、儚さ、言い表すことの出来ない様々な要素を内包しており、鑑賞者自らが画面に入り込んでいくことで見える世界がそこにあると考えます。
うすく淡い、霞が掛かったようなその画面は何処の景色でもなく、ただ心地よい色彩と滲みによって構成されそ一度その前に立つとと、どこまでも深くその世界に引き込まれます。とても深く、無限の世界が深い奥行きを持って、包み込むように時
に吸い込まれるように。
つくばで初めてとなる今回の個展で多くの方にご高覧いただければ幸いです。
gallary neo_/Senshu 2023/4/2
この度、千洲額縁株式会社は gallery neo_ と共にアートギャラリー 「gallery neo_/Senshu」を立ち上げ、
その第一回目の展覧会として アーティスト 野村直子(ノムラ ナオコ)個展『 土の色 山のかたち 地層の線 』を開催する
運びとなりました。
日本画の素材と技法を用いたドローイング表現を探究する野村直子の描く作品は、華奢な体や落ち着いた佇まいから は想像できないほど力強く身体性を感じる筆致で描かれます。石を砕いた粒子からなる岩絵具で作られる大地、再溶解 する膠と水の作用によって刻まれる地層。和紙の上で起こる自然の作用とそれらを操る技法により立ち現れる風景は、
彼女がその場に身をおいて自然と対峙した時に生まれる感覚によって導き出されます。 野村は人間は自然の一部と考えます。そして山や岩、自然と対峙し無我夢中で描いている時「自分の身体」と「自然」 の融合する感覚が生じ、その時立ち現れる線、色、かたちで「自然のエネルギー」を表現しようと試みます。
自然とともに作られる野村の絵画、その画面は原初から持つ人間の意識を揺さぶる強さを持っていると感じます。 この機会に、アーティスト野村直子の描く絵画をぜひご高覧ください